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ジュネーブ(2008年3月)

名称 第78回ジュネーブ国際モーターショー
会期 プレスデー 2008年3月4日(火)・5日(水)2日間
一般公開 2008年3月6日(木)〜16日(日) 11日間
会場 パレクスポ(Geneva Palexpo)
URL http://www.salon-auto.ch/en/

ショーの概要・様子

スイスのジュネーブにおいて2008年3月6日(木)〜16日(日)までの11日間、第78回ジュネーブ国際モーターショー(78th Geneva International Motor Show)が開催されました。スイスは自動車非生産国であるにも関わらず、ジュネーブ国際モーターショーはその高い中立性により、世界的にも注目を集める国際モーターショーとして高い評価を得ています。展示面積や出品資格などにおいて、会社の規模や国による差が少なく、中小ブランドやカスタムカー等を手がけるカロッツェリアも多数出品していることから、ワールドプレミア(世界初披露)が世界でもトップレベルであり、今年は車両だけで81台のワールドプレミアモデルが発表されていました。また、今年も多くの自動車メーカーの首脳陣が来場していました。

ショー会場のパレクスポ(Palexpo)はジュネーブ国際空港、高速道路のインターチェンジ、幹線鉄道の駅に隣接し、市街中心部からも鉄道で6分という交通至便のロケーションに位置しています。ジュネーブ国際空港駅から会場に向かうコンコースには、出品者の看板や実車が並び、展示会場の外壁面や周辺まで目につくところは出品者のロゴや広告等を掲出しており、会場の雰囲気づくりという点で参考になります。総展示場面積114,000㎡の会場には、環境を前面に出したショーテーマ「Drive green!」のもと、30ヶ国から260社、約1,000ブランドが出品しました。今年の新規出品は、インフィニティとハイブリッド車を出品した中国のBYD AUTO。また、ノルウェーのメーカーThink Globalは、電気自動車のシティカーをホール6前の屋外スペースに展示するなど、他の出品者も含め、今後強化される欧州の排出ガス規制の強化を睨み、環境対応モデルや技術の展示に力を入れていました。

主催者は閉幕後に、来場した報道関係者が約10,000人(毎年約5,000人前後)に達したと発表しています。多くのプレスから注目を集めた今回のジュネーブ国際モーターショーですが、中でも、今年の1月にニューデリーで華々しくデビューした28万円の「Nano」を、ヨーロッパで初披露したインドメーカーのTATAモーターズブースには黒山の人だかりができていました。また、イタリアのスポーツカー「フェラーリ」のデザインも手がけた世界的工業デザイナーの奥山清行氏が、「Ken Okuyama Design」ブースを出展、今後も毎年ジュネーブショーで新型モデルを出品すると発表していたのが印象的でした。

レイアウトは企業グループ別の共同・隣接展示が定着しており、変更は最小限になっていました。しかし、これまでホール1の隅に出品していたタイヤメーカーが、展示場の中央部分にブースを移したため、若干レイアウトが変更されていました。タイヤメーカーは、必ずブース内に車両を展示することが義務付けられているため、カロッツェリアが多数出品しているホール中央部分に配置されたにも関わらず、違和感なく溶け込んでいました。

各社共、派手な演出は特に見られませんでしたが、トヨタは、コンセプトカーiQの演出として、床面がスライドし、地下からiQがせりあがるという意表を突く演出をしていたのが注目を集めていた。また、フィアットブースでは、巨大なFiat 500のオブジェが置かれ、それがスタッフ用の事務所スペースを兼ねるというインパクトのあるブース設計が目を引いていました。

二階建て構造は、ホール壁面に位置する出品者が採用していますが、それ以外は1.5mの高さ制限があるため、ホールを仕切る壁がないので、一つの屋根でつながるメインの1〜6ホールは約85,000㎡あるにもかかわらず、広さを感じさせません。また、見通しが良いという利点もあり、純粋にクルマが見たい来場者にとっては落ち着いて見ることができる良い環境だと言えそうです。

多くのブースは、床面に通路との段差を設ける構造であり、全面スロープや一部アプローチにスロープを設けているのは、大規模ブースが中心でした。車いす利用者が少なくない中、主催者はバリアフリーに対し積極的ではないようです。 ジュネーブ州が室内又は囲われた公共スペースでの喫煙に反対を表明する「受動喫煙と健康」の州民提案に賛成したことを受け、立法化は来年の夏の予定ですが、主催者は今回から「禁煙展示会」を先行導入しました。しかし、来場者への事前PR不足のためか、展示ホール内でも喫煙の様子が多々見受けられました。

今回注目すべきは、主催者が、7ホールの地階に常設されている国際自動車博物館を一時的に閉鎖し、「ホール71」と称した5,000㎡の来場者向け「エンターテイメント空間」(一般公開日の週末からオープン)に衣替えをしたことです。残念ながら今回は視察することが出来ませんでしたが、店舗やイタリアンレストランを含む飲食売店が入るほか、プレイステーション3用の“グランツーリスモ5プロローグ”や“マリオカート・ダブルダッシュ”等、幅広いゲームが楽しめるそうです。
今回から一般来場者向けのエンターテイメント企画を新たに取り入れるなど、これまで余り力を入れて来なかった一般来場者向けサービスの充実に向かうジュネーブ国際モーターショーの変貌と「環境技術」で鎬を削る各社の展示が印象的でした。
ポスター
鉄道駅での展示
インフィニティブース
屋外展示
TATAブース
KenOkuyamaブース
ブリヂストンブース
トヨタiQ
フィアットブース
会場俯瞰