北京は2008年の北京オリンピックを控え、まさに建築ブームの真最中という感じでした。街中いたるところにビル建設のクレーンが林立して、新たなビルが建築されています。北京の碁盤の目のように敷かれた片側数車線もある、まるでアメリカのハイウェイのような道でも、モータリゼーションの急激な発展により、車であふれ大渋滞が日常茶飯事です。滞在中も北京の空は靄がかかったように白く淀んでいました。
中国の自動車マーケットは、2006年には700万台市場となり日本を抜いて世界第2位の市場へ成長、2010年には1000万台に拡大し、2020年には2500万台市場となり米国を追い抜き世界最大の自動車大国となるとの予測もあります。
2004年に引き続き、注目を集める第9回北京国際汽車展覧会(Auto China 2006)を視察しました。当初Auto China 2006は、北京首都国際空港近くに建設される新展示場で開催される計画があり、そのために従来の6月開催から11月開催に変更されましたが、会場建設が間に合わず、前回と同様、中国国際展覧中心(乗用車・部品)と全国農業展覧館(商用車・部品)の2会場を使用して開催されました。
2004年の第8回ショーとの違いは、会期です。前回はプレスデーが水曜日、木・金がトレードデー、一般公開日は土曜日から5日間というものでしたが、今回は、理由は不明ですが、プレスデーが土曜日、トレードデーが日・月、一般公開日は火曜日から7日間となり、週末にプレスデーやトレードデーを組み込むという国際モーターショーではあまり見られない会期となっていました。また、前回はまったく実施していなかった入場ゲートでのセキュリティチェックが導入され、全てのゲートにエアポートにある手荷物のX線検査、金属探知機が設置され、2年前とは状況が一変していました。
●第1会場 (中国国際展覧中心、CIEC)
プレスデーとトレードデーに視察しました。入場者には子供連れまでおり、プレスでないと思われる入場者であふれていて、まるで一般公開日のような状況でした。驚くことに、入場ゲート近くのチケット売り場には、1,080元(約18,000円)の腕時計を買うと、プレスデーを含めて一般会期中3回入場可能なチケットが入手でき、580元(約9,800円)の腕時計を買うと、プレスデーのみ入場可能なチケットが入手できるとの表示までありました。
各社のブースは、派手やかなものも多くありましたが、天井吊り照明を導入していないため、各ブースはポールを建て、それにトラスを組んで照明を取り付けなければならず、視界も悪く古めかしい感じがしました。
各社の展示内容としては、トヨタがワールドプレミアであるカローラや、中国市場でも課題の環境問題対応としてプリウスのカットボディを展示し、レクサスはLS460LやRX400hのカットボディなどを披露していました。ホンダも燃料電池車のFCXを展示し環境対応をアピール。またASIMOによるパフォーマンスも披露し来場者を盛り上げていました。日産は7月の広州モーターショーでワールドプレミアとして出品した世界戦略車のリヴィナ ジェニスをブースのセンターに据えるなど中国市場への意気込みを感じる展示になっていました。今回初めて出品されたフェラーリ、マセラティ、ポルシェなどの高級スポーツカーのブースは人気で黒山の人だかりができていました。中国メーカーでは、奇瑞汽車が独自開発のハイブリッド車、ディーゼルエンジン車を発表し話題となっており、上海汽車も独自ブランド車第1弾である栄威(Roewe)750を発表するなど、開発力をアピールしていました。
専門家向けセミナーが展示館内会議室ならびに会場外のホテルにおいて開催されていましたが、一般来場者向けの特別イベントは、中国政府要人の公用車として知られる紅旗のビンテージカーを集めた屋外展示が行われていた程度で、それ以外目だったものはありません。まだ、車そのものに集客力があるのでしょう。
●第2会場 (全国農業展覧館、NAEC)
第1会場から4kmほど離れた第2会場もトレードデーに視察しました。商用車と部品、関連用品が展示され、部品出品者は第1会場と合わせて1000社以上と言われていますが、会場内に無数の部品出品者が所狭しとブースを構えています。ドイツ、スペイン、チェコも政府出品ブースを設け、韓国、台湾や中国国内では浙江省からの出品も見られました。屋外の商用車展示は、大型バスやトラック、SUVなどがありましたが、11月中旬からの開催では、外気温も低く(11月20日の朝は4℃)、とても屋外展示を楽しめる天候ではありませんでした。
Auto Chinaは、次回ショーの2008年には、北京首都国際空港近くの順義地区に15万m²以上と言われている新会場が完成し移転する計画があり、アジアにおける主要モーターショーの一つとして今後さらに発展していくものと思われます。