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北京(2008年4月)

名称 2008(第10回)北京国際汽車展覧会
会期 プレスデー 2008年4月20日(日)、21日(月)
トレードデー 22日(火)、23日(水)
一般公開 24日(木)〜28日(月)
会場 New China International Exhibition Center (CIEC)
テーマ 夢相・和階・新境界

ショーの概要・様子

第10回目となる北京国際汽車展覧会(Auto China 2008)が、10万m2の展示面積を持った北京空港近くの新しい展示会場で開催された。中国では、国際自動車工業連合会(OICA)認定のモーターショーは存在しないが、マイカーブームに沸く市場の熱気に乗り2005年には年間の自動車販売台数が日本を抜き米国についで第2位となり、さらに本年の販売台数も1,000万台を超えようという同国において、北京モーターショーは上海、広州と並び国際モーターショーとして注目を集めている。

出品カテゴリは乗用車、商用車、車体、カロッツェリア、部品等で世界18の国と地域から225の海外出品者と1,800以上の国内出品者を含む、およそ2,100社が参加。55台のコンセプトカーと国際ブランドメーカーから7台のワールドプレミア、24台のアジアプレミアが出品され、総出品台数は過去最高の890台となった。

新展示場は北京市の郊外にあり空港から約4km、市内中心部からは車で45分程度の場所に建設された。現状では会場まで歩いて行ける場所に駅がないため、近隣の駅から車(TAXI)やバス等で行くことになるが、将来は地下鉄が整備され展示場の南北2ヶ所に駅が出来る予定。また専用の道路を造り市内の環状道路に接続する計画もされているとのこと。
外観は正面エントランスがガラス張りでスタイリッシュな印象、エントランス内も外光が入りとても明るい。通路も幅が広く各展示ホールへのアクセスも容易、白を基調にしており清潔感もある。
展示場面積は10万m2あるが、今後も継続的に拡張し最終的には25万㎡とする予定。実際、今回のショーにおいても展示場外に8つの仮設テントを設置したり、1kmほど離れた場所に広さ2.5万m2の仮設展示場が設けられたりするなど合計18万m2の展示場面積で開催されていたが、まだまだ面積不足であることは否めない状況であった。

会場に入るゲートはそれぞれ手荷物のX線検査、ゲート式の金属探知機、ハンドタイプの金属探知機など厳重なセキュリティチェックが行われたあと、入門証にあるバーコードを読み込ませ回転バーをくぐりやっと会場の中へ入れる。入退場情報は電子管理されているため会場を出るときにもバーコードの読み取りが必要となる。読み取り機1台に対して1人の制服警備がついて入場管理をする徹底振り、入退場も1日4回までと制限され、複数人での使用を抑制する対策がなされていた。同ショーではこれまでも入退場管理はされていたが、ここまで厳重なものではなかった。今回は、新会場となったためか、夏に開催される北京オリンピックの予行練習のためか、人も機材も投入し重苦しいくらいの雰囲気であった。

西東にそれぞれ4つ配置された計8つの展示ホールには、乗用車メーカー、カロッツェリアメーカー、Boschなど一部の部品メーカーが展示され、日本のカロッツェリアメーカーではSIVAXが出品していた。8つの展示ホールのうちメインと思われる会場南側のゲートに一番近いホールには、中国メーカーが多く配置されており、外国メーカーとしては唯一スズキが出品していた。展示ホールを出ると、南側の屋外展示場に商用車、車体メーカー、展示館の間の屋外スペースにはタイヤメーカーが出品している他、8つの仮設テントと会場外の仮設展示場には部品・用品・サービス等が出品していた。

乗用車メーカーのブースには燃料電池車やハイブリッド車、安全技術の展示もあり、環境や安全に対する意識の高さが覗えたが、基本的に中国市場での販売を意識した市販モデルが多く、ワールドプレミアも日産:ティアナ(セダン)、メルセデスベンツ:GLK(SUV)、VW:ボーラ、ラビダ(セダン)、アウディ:Q5(SUV)、ポルシェ:カイエンターボS(SUV)、他1台と中国国内で売れているセダンとSUVがほとんどであった。また中国では高級車の販売台数も伸びており、実際に同ショーの会期中にも3億7500万円のヴェイロン(ブガッティ)を含め、ベントレー、マセラティなど合計32台の高級車が成約したそうである。

トヨタはレクサスブランドとあわせて50台を出品、中国市場に投入している車種を全てそろえた他、参考出品車も『iQコンセプト』、『i-REAL』など7台(うち6台は中国初)を展示していた。ホンダは中国の外資系自動車メーカーの合弁会社としては初めて、広州ホンダが独自に商品開発を行った自主ブランド『理念』を発表した。

プレスデー初日、乗用車メーカーのほとんどがこの日にプレス向けのブリーフィングを行うが、トヨタ、日産、三菱、スバルの4つの日本メーカーとGM、ベンツ、VW、フェラーリ、マセラティ、プジョー、シトロエン、スコダの8つの海外メーカートップがブリーフィングに参加しており、自動車業界における中国市場への今後の期待と意欲を垣間見ることができた。

会場内には各出品参加メーカーの大型アドボードが大量にあり、通路の上、ガラス面、屋外壁面など使えるところは全て使用している感じでとても賑やかであった。また、会場周辺の半径1〜2km圏内の道路にも中央分離帯の街路灯にバナーが設置されており、ある道路では会場付近を始点にバナーが40本以上設置され、展示会場を中心とした町全体でモーターショー開催の雰囲気作りに一役かっていた。

出品展示以外にも会期中には出品者や自動車関係団体、新聞・雑誌などの媒体関係が主催する技術セミナーやフォーラムが27開催された。乗用車メーカーが主催するものは全て中国メーカーで海外メーカー主催のものは含まれていなかったが、商用車メーカーではIveco、部品メーカーではGKNとContinentalが開催していた。また、展示会場北側の屋外では一般来場者参加型の特別企画として初めての試みとなる四輪駆動車の試乗会が開催されていた。いくつかのセクションが設けられたダートのコースには、最大斜度40度、高さ5mのクライムヒルも設置されており、フォードや中国メーカーのJAC等が参加していた。

拡大の続く国内需要に沸く中国・北京のモーターショー。今回の視察を通じて来場者のみならず各国の出品メーカーや自動車業界団体にとっても、さらに重要度が増し今後も大きく成長していく力強いパワーを感じるショーであった。
会場平面図
正面エントランス
エントランスと入場ゲート
セキュリティチェック
北京五輪マスコット
トヨタブース
トヨタ:iQコンセプト
ホンダブース
広州ホンダ:理念コンセプト
日産:PIVO 2
メルセデスベンツブース
出品者アドボード